未登記建物の相続、売買、取壊し - 土地家屋調査士事務所

康永登記測量事務所

未登記建物とは

 建物表題登記を行っていない建物が未登記建物です。
 銀行融資をうけ、建物を建築した場合、建物表題登記、建物保存登記、抵当権設定登記手続が必須となります。
 銀行融資を受けずに建物を建築した場合、抵当権設定登記の必要がないので、建物の表題登記をせずに登記を放置する場合があります。
 古い建物に未登記建物が比較的多く、相続や売買の時に、建物が未登記であることを発見したりします。
 未登記建物であっても、固定資産税は課税されています。市町村は、登記手続とは関係なく、独自に家屋の調査を行っており、未登記建物であっても課税処分を行っています。

未登記建物と相続

未登記建物も相続財産に含める。

 未登記建物であっても、当然に建物としての財産的価値があるので、相続財産に含まれます。
 老朽化が激しく財産的価値が認められなければ、建物の取壊しの負担をだれが負うのか決めることになります。
 未登記建物に財産的価値が認められるのであれば、遺産分割協議などの手続を経て、未登記建物の相続人を決めることになります。
 相続人が決った後は、建物の表題登記、建物の保存登記を行い、所有者を登記簿に記載することになります。

 

相続の後、未登記建物を登記せずに置いといた場合のデメリット

 (1)過料が科せられる可能性があります。
 不動産登記法47条1項により、所有者は所有権の取得の日から1か月以内に表題登記の申請をしなければなりません。違反するした場合、10万円以下の過料が科せられる、となっています。
 (2)建物の売買ができない。
 未登記建物を第三者に売買した場合、第三者への所有権登記の名義変更ができません。現所有者による表題登記、建物保存登記を経て、第三者に所有権移転登記を行うのが、実務上の取扱いです。取引の安全や、税務上の安全を考えて、登記記録を残すのが一般的です。
 (3)第三者に建物の所有権を対抗できない。
 建物が未登記の場合、その建物の所有権を善意の第三者に対抗できません。
 建物の所有者と底地の所有者が異なる場合、底地の所有者が土地の明け渡しを求めた場合、建物が未登記であれば、明け渡さざるを得なくなる場合があります。
 建物が第三者に売買され、その第三者が登記を行った場合、対抗できなくなります。

未登記建物の売買

未登記建物の売買は可能か

 未登記建物の売買は可能です。
 建物を特定し、売買を行います。特定の方法として、固定資産税の評価証明書、固定資産税の家屋台帳の写し、現地の図面等で確認します。
 しかし、実務上、未登記建物の売買を行い、支払い代金の決済をすることは、ほとんど見受けられません。
 取引の安全を考慮した場合、リスクが非常に大きいからです。
 未登記建物を売買する場合は、現在の所有者が、表題登記、保存登記を行った後に、第三者に所有権移転登記を行うのが、一般的です。

未登記建物の売買のリスク

   

(1)建物の新所有者が建物表題登記、保存登記を行わなかった場合
 当然に、新所有者は、建物の所有権を第三者に対抗できないので、その建物が、前の所有者から他人に売買され、その他人が所有権の登記を備えた場合、新所有者は建物の所有権を失うと考えられます。
 (2)建物の新所有者が、自ら表題登記、所有権移転登記を行った場合
 建物の所有権は新所有者の者となります。しかし、売買し、所有権移転した事実が登記簿に反映されません。
  所有権の登記が実行されれば、法務局から税務当局に「税通」として、登記の事実が通知されるのですが、この場合、前の所有者から新しい所有者への所有権移転の事実は登記簿に記載されていないので、税務当局は所有権移転登記の事実を知ることができません。
 よって、前の所有者、新所有者は、税務当局に自ら説明をする必要が生じます。
この説明を怠ると、税務上不利な取扱を受ける可能性があります。また、税務当局にいらぬ疑いを持たれる可能性があります。

未登記建物の取壊し

未登記建物の現在の所有者が取壊す場合

 未登記建物の現在の所有者が、取壊し費用を負担し、建物を取壊す場合は、登記の問題は生じません。
 建物の表題登記は行いません。
 建物の滅失登記も当然におこないません。
 市町村の固定資産税課に滅失の届出が必要です。

未登記建物の新所有者が取壊す場合

 未登記建物の現所有者による建物の表題登記、保存登記、新所有者への所有権移転登記を経て、新所有者が取り壊し費用を負担し、建物の滅失登記を行います。
 登記費用を節約するため、登記を省略すると、建物の取壊し費用について税務当局と争いになる可能性があります。  
 




M.Yasunaga

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