不動産売買と測量
土地を売買するにあたって、土地を測量する必要があるのか。
測量を行うと、当然その分の費用が発生します。
その費用と、土地の売買価格や取引の安全などを考慮して、測量を行うかどうか決めます。
測量を行わず、登記簿の記載で土地を特定し、売買を行うことを、公簿売買といいます。
測量は行うが、境界線は、土地の所有者の認識に基づいて測量し、
面積を算出して行う売買を、実測売買といいます。
測量を行い、隣接地との立会いなどの境界確定手続きを経て、境界を確定し、売買を実行することを、
確定測量済みの売買といいます。
公簿売買
公簿売買は、
登記簿に記載されている登記簿に記載されている
土地の所在、地番、地目、地積に基づいて土地を特定し、その土地の売買を行うことを言います。
土地を特定するとは、登記簿に記載された土地がある、という意味であって、
明確な土地の範囲や所有者を特定するということではありません。
日本の登記制度は、公信力がありません。
つまり登記簿に記載されている事実をそのまま信頼することはできません。
公簿売買は、
◎小さな土地で、境界に争いもない土地
◎山林や原野で、境界線を明確にする必要のない土地
等の売買取引で、公簿売買を行います。
公簿売買のメリットは測量費用を節約する。
デメリットは、境界を確定しなかったことによるりリスクを売主、買主のそれぞれが背負うということです。
リスクの例として
◎土地の面積の増減
◎境界線の不一致
◎隣接地の相違
等があげられます。
実測売買
不動産業者の広告で、「実測済み」と大きく書かれて、
安全な土地の印象を強調している広告がたまにあります。
実測売買は、実務上、その意味する範囲が広くて、
単に土地の面積を測量しただけ場合もあれば、
境界確定を完了させた場合もあります。
土地の売買にあたり、土地の測量は通常売主負担で場合が多いので、
売主は測量にかかる経費を抑えようとがんばります。
実測済みと広告されてはいても、土地の面積を測量しただけで、境界は未確定という土地が出現します。
現況の面積を測量し、地積測量図や過去に作成された境界協定書などの資料によって境界が明確であれば、取引の安全は担保されるでしょう。
土地の価格の見積りを立てるための測量や、建物を建築するために敷地の調査測量は、境界を確定したことにはなりません。
境界確定測量
隣接する土地の境界を確定させていく手続きのことを境界確定測量といいます。
この手続きの完了していないものは、境界が確定したとはいえません。
隣接地の所有者に境界確認の依頼をした時に、まれに
「境界は決まっているから立会いは必要ない。市役所に図面があるやろ。俺は固定資産税払ってる」
との理由で立会いを拒否される人がいます。
土地家屋調査士は、隣接地に立会いを依頼する場合、当然に事前調査を完了しています。
「この件では、市役所に図面はありませんでした」と回答すると
「なんで固定資産税額が決まるね。図面があって境界が決まってるからやろ」
日本の土地の境界は、建前は全て決まっていることになっています。
ところが、実際は境界がどこかわからないことが普通にあります。
それで、不明となった境界を探し出す。
探し出した境界を関係人の承諾を経て確定させる手続きが、境界確定です。
測量技術の進歩や、不動産登記法の改正などによって、境界確定の手続きの要件が決められています。
法務局に備えられている地積測量図であっても、古い地積測量図で、この要件にあてはまらないものは、境界確定の資料にはなりません。
境界確定は、
地積測量図、官民境界確認書、民民境界確認書が、
この要件に適合するものであれば、境界が確定したものとして取り扱い、
不適合であれば、土地を測量し、資料を調査し、立会いを経て、境界確認書を作成します。
お役立ち情報
地積とは、境界とは
土地の売買の際に土地を測量するか、しないか