筆界-土地家屋調査士事務所

康永登記測量事務所

筆界 所有権界

■Question

土地を売却しようと、不動産屋に相談したところ、筆界を確認する必要があるといわれました。
「筆界」という聞きなれない言葉ですが、土地の境界とは違う意味なのでしょうか。

■Answer

◎筆界

筆界(ひっかい)とは、「公法上の境界」のことです。
筆界で囲まれた土地を「一筆の土地」と呼び、その一筆の土地に一つの地番がつけらます。
筆界とは地番と地番の境界のことで、公法上決められた土地の境界のことです。
筆界は、公法上の境界であるから、個人が勝手に変更できるものではありません。

◎所有権界

ふつう土地の境界は、自分の土地の所有権の範囲と考えてます。
「ここまでが私の土地の境界だ。」という時、自分の土地の所有権の境界のことを言っています。
この所有権の範囲を示す土地の境界線のことを「所有権界」といいます。

この「所有権界」という言葉は、一般になじみがありません。
土地の境界線に争いが生じた場合は、
この「筆界」と「所有権界」という言葉の理解を通して、境界線の問題を考えてみてください。
当事者の主張している境界が何なのかというのがよく見えてきます。

筆界と所有権界の不一致

もともと筆界と所有権界は一致しています。
ところが長い年月の間に、筆界の認識が曖昧になり、
筆界とは違うところに、ブロック塀が建てられたり、筆界の上に建物が建てられたりし、
その建てられたブロックや建物の敷地の範囲を境界と認識し、その境界を主張するようになります。

上の図のように、昔は田んぼで、田んぼの畔の中心が土地の境界線(筆界)であった土地が、
畔の真ん中を通る線(筆界)とは異なる位置に、ブロック塀を立て、建物を建て、
土地を占有する範囲が、畔の真ん中を通る線(筆界)とは異なってしまう、ということが生じます。
この土地の占有する範囲の土地の線のことを「所有権界」といいます。

◎筆界の変更はできない。


15番の土地所有者と16番の土地の所有者の話し合いによって、
現在の土地の境界線は、土地をそれぞれが占有している範囲の土地の線が境界線として、
法務局に土地の境界線の「変更」の登記を申請することはできません。

15番と16番の土地の境界線は、畔の中心が境界線であると示されて、登記簿謄本が登記所に備えられた経緯がある以上、
15番と16番の土地の筆界は、畔の中心線になります。
この筆界を土地の所有者の話し合いで変更するということはできません。

筆界は公法上の土地の境界であるから、所有者の主張する所有権の範囲によって、
筆界に変更することはできません。

◎土地を分筆する。


上記の例の場合であれば、
15番、16番それぞれの土地を所有権の範囲に合わせて分筆することになります。
そして分筆した土地の所有権の帰属をどうするかは、話し合いによって、変更することができます。

15番の土地を15番1と15番2の土地に分筆します。
16番の土地を16番1と16番2に分筆します。
分筆によって、新たに公法上の筆界を形成します。
分筆登記を法務局に申請し、登記がされることによって、所有権界が、筆界になります。

この分筆登記によって、新たに筆界を形成すべきものを、当事者の話し合いで、筆界を「変更する」ということは、できません。

M.Yasunaga

お問い合わせ
〒544-0001
大阪市生野区新今里七丁目10番19号
土地家屋調査士・行政書士
康永登記測量事務所

TEL 06-4306-0241

■相談、見積りは無料です。

土地の登記

建物の登記

メールお問い合わせ

登記測量の知識 お見積り

↑ PAGE TOP