敷地権、敷地利用権
◎区分所有法
日本の登記制度は、土地と建物をそれぞれ別個の不動産として登記しています。
土地と建物の所有者が同一の場合生じなかった問題が、片方の所有者が変わることで、
問題が発生する場合があります。
例えば、土地と建物の所有者が同一であったが、土地の所有者が変わり、
土地の所有者が建物の所有者に建物の退去を求めるという問題です。
一戸建ての建物の場合は、法定地上権や借地借家法で、建物を守る方途が用意されています。
分譲マンションの場合は、区分所有法で土地と建物の権利関係を定めています。
◎敷地利用権
マンションを購入しました。
ある日土地の所有者が変わり、土地の明け渡しを求め、マンションを退去するよう通告してきました。
このような不都合を解消するために、敷地利用権というのが考えだされました。
分譲マンションを購入したら、土地を利用する権利も合わせて購入するようにしました。
土地を利用する権利は、所有権、地上権、賃借権による権利で、これを敷地利用権といいます。
分譲マンションは、同じ土地の上に数件の専有部分が建っていますので、
ある1件の専有部分のためにある特定された土地をその専有部分の権利とすることは、
物理的に困難があります。
それで、マンションのために利用される敷地の利用権とマンションの専有部分を一体化し、
建物に対する敷地の利用権の範囲を決めるという必要が生じます。
つまり、マンションの建物部分と土地は、別々に売買などの取引を行ってはダメで、
建物と土地の利用権は分割することのできない1つの権利にしてしまうことを、
専有部分と敷地の利用権の一体化といいます。
◎敷地権
専有部分と敷地の利用権の一体化は、
分譲マンションを購入したときに、その契約内容で決まります。
契約は、その当事者間の取り決めなので、当事者間で合意したとしても、
他人はまったく預かりしりません。
分譲マンションの購入は、購入した人と分譲業者の約束であって、他人には知り得ません。
第三者に権利を公示するには、登記をします。
マンションの場合は、区分所有法と不動産登記法に基づいた登記の方法に従って、登記をします。
登記によって、マンションの敷地の利用権が、敷地権となります。
つまり、敷地権とは登記された権利のことです。